安倍政権にひれ伏す日本のメディア (マーティンファクラー) <監視社会への道を進みつづける日本>
読んだきっかけ
コロナウイルスがメディアに多く取り上げられ始めたときに、コロナを話題にすることで意図的に隠している情報があるのではないかと思って読んだ。
マーティンファクラーさんとは
・アメリカ出身のジャーナリスト。記者として最前線での経験が豊富でありながら、教養が深く、そして日本愛がすごい。
・ブルームバーグ東京支局、AP通信社NY本社、同東京支局、同北京支局で記者経験を重ね、同上海支局長となる。その後ウォール・ストリート・ジャーナル東京支局を経て、ニューヨークタイムズ東京支局の記者となり、2015年7月目で同東京支局を務めた。
この本のすごいところ
・日本のメディアの問題点(記者クラブ、メディア同士のケンカ、政府の言いなり)を、恐れることなく批判している。
・国内外で記者経験豊富かつ日本メディアの内情に詳しいジャーナリストが、日本メディアの問題点を指摘している。
この本のテーマは何か
・政府のいいなりになっている日本メディアへの批判と、どうすれば改善できるか、メディアはどうあるべきか。
キーワード
・記者クラブ
・調査報道
・安倍政権
・監視国家
本の目次
第1章 安倍政権のメディア・コントロール
第2章 メディアの自壊
第3章 ネット右翼と安倍政権
第4章 権力vs調査報道
第5章 失われる自由
第6章 不確かな未来
要約
・現在の日本のメディアは、政府によってコントールされている。特に第二次安倍政権以降、圧力は格段に強まった。
・具体的にはメディアへの要望書や放送法、特定秘密保護法による規制、批判的な報道をすると官邸への取材アクセスが切られるなどだ。
・国際的にも監視社会の傾向は強まっている。今こそジャーナリズムの精神は立ち上がる必要がある。
刺さった言葉
どんな大スクープも、たった一つの小さなミスが命取りになる。
ネットではアクセスを稼ぐため、長い調査報道記事より短い速報ニュースが重視されてしまう。
デジタル技術の進化により、国家による監視が急速に強まったことで、ジャーナリストと情報源となる内部告発者の包囲網ができつつある。
感じた疑問
どうすれば監視を強化せずに、ネット上で健全な議論ができるのか?
ノイジー・マイノリティをマイノリティと知るには、アカウントごとに集計して数値が必要かもしれない。だがSNSのアカウントは増やそうとすればいくらでも増やせる。とすると議論の偏りを見抜くには個人の特定が必要になる。しかし監視を強化することになってしまう。
読んだ感想
安倍政権がこんな風にメディアを統制していたことを全然知らなかった。何も疑問を持たずにニュースを見ていた。情報の取得元が悪かったと思う。
データに基づいた記事を提供しているメディアと、調査報道を積極的にしている会社を探そう。
これから何を変えるか
・数字とデータを根拠にした記事を読む。
・調査報道記事を読む。
・ボーン・アルティメイタムを見る。監視社会のイメージを掴む。
- 作者:マーティン・ファクラー
- 発売日: 2016/02/20
- メディア: 新書